『こころ』と『友情』

夏目漱石の「こころ」、そして武者小路実篤の「友情」。いずれも友情と恋愛をテーマにした作品です。
どちらの作品も、同じ女性に恋した男性二人の心理を描写しています。
こころでは、恋に破れたKは自殺し、それを苦にした先生もやがて自殺します。
一方、友情では恋に破れた野島は強く生きる決心をします。
内容も文体も友情は軽薄でこころは重厚な印象がありました。
友情に出てくる杉子の野島に対する辛辣な描写には少し驚かされますが、野島の杉子への思いは今でいえばストーカーに近いのかもしれません。
しかし、いずれの作品も、同一の女性を好きになった二人の男性の心理模様であり、友人の彼女や細君を奪ったわけでは無いのに、ここまで思いつめるものだろうか。明治の時代背景、そして純文学たる所以でしょうか。
競争社会で生きてきた我々の世代は、恋も競争、という思いがありました。
合コンで意中の女性がいると、周りの友人そっちのけでなりふり構わず攻めていったものでした。
でも今のゆとり世代の若者たちは恋にもあくせくしていないのかもしれませんね。
ちなみにこころはゆとり世代の高校2年生の現代国語の教科書にKの自殺前後の描写が取り上げられています。